善悪良否の判断を身につけさせる

幼児期においては、何が善であり、何が悪であるか解からない本能我(悪意のない自己中心性)の時代であるから、善悪良否の判断を身につけさせるには、親の姿勢が重要な役割を果します。幼児期が他律の時代といわれるのはこのためです。親の価値観が子どもの行動を決定づけるといっても過言ではありません。
 
例えば最近は子どもの能力を伸ばすために、子どもの行動を規制しないで何でもやりたいことはやらせるという母親もいて、所かまわず落書きのしてある家庭がりますが、この家庭では落書きではなく子どもの能力を伸ばすために、自由に書かせているだけのことです。
 
他の母親は、「お絵かきするのは、ここに画いてね」と画いてよいものや、場所を示してそれを守らせるようにしつけていきます。この子ども達が幼稚園に入ると全く異なった行動をおこします。
 
前者は、平気で幼稚園の中の床、壁、机と手当たり次第落書きをしちゃいますが、後者の子どもは、「そこに画いては駄目」と泣き声まで出して前の子どもの行動を止めさせようとしますが、後者は、悪い行動とは思わないので、画き続けるという行動をとってしまいます。
 
しつけの目安は、人に迷惑をかけないことなので、常識的に考えて、どこにでも絵を画かせるのは考慮の余地があるように思われます。
 
小学生になると、自分で考えて、善悪良否の判断もできるように成長し、これを自律の時代といいます。
 
善悪良否の判断を身につけさせるためには、自主性、耐性、社会性が育てられなければなりません。これらを育てられていないと、「これは悪い」と解かっていても、人の物を盗ったり、自分の責任を他に転嫁したり、自分の行動を律することの出来ない、無責任な自己統制能力の欠如した子どもに育ってしまいます。